円の接線の方程式

準備

直線の方程式

異なる 2 点 \((x_1,y_1)\),\((x_2,y_2)\) を通る直線の方程式を,単に \[y-y_1=\frac{\:y_2-y_1\:}{x_2-x_1}(x-x_1)\; \cdots\cdots\; ①\] としてはいけない。\(x_1=x_2\) のときは 0 で割ることになるからである。したがって,次のように場合分けが必要になる。

2 点 \((x_1,y_1)\),\((x_2,y_2)\) を通る直線の方程式は \[x_1\ne x_2\; のとき\quad y-y_1=\frac{\:y_2-y_1\:}{x_2-x_1}(x-x_1)\\ x_1=x_2\; のとき\quad x=x_1\qquad\qquad\qquad\qquad\,\,\,\]

ここで,\(x_1\ne x_2\) のときの方程式①の分母をはらうと\[(x_2-x_1)(y-y_1)=(y_2-y_1)(x-x_1)\]すなわち\[(y_2-y_1)(x-x_1)-(x_2-x_1)(y-y_1)=0\;\cdots\cdots\;②\]が得られる。上の方程式は,\(x_1=x_2\) の場合も表せている。異なる 2 点 \((x_1,y_1)\),\((x_2,y_2)\) を考えているので,\(x_1=x_2\) のとき \(y_1\ne y_2\) であり,\(x=x_1\) が得られる。

よって,異なる 2 点 \((x_1,y_1)\),\((x_2,y_2)\) を通る方程式は,\(x_1=x_2\) の場合も含めて②で表される。

原点を中心とする円の接線

まずは最も簡単な場合,中心が原点である円の接線を考える。

円 \(x^2+y^2=r^2\) を \(C_0\) とし,\(C_0\) 上の点 \(\mathrm{P_0}(x_0,y_0)\) における接線を \(l_0\) とする。

円の接線が,その接点を通る半径に垂直であることを利用する。

直線 \(\mathrm{OP_0}\) の方程式は \(y_0x-x_0y=0\) と表すことができるから,\(l_0\) の方程式は \[-x_0(x-x_0)-y_0(y-y_0)=0\] すなわち        \(x_0x+y_0y={x_0}^2+{y_0}^2\)

点 \(\mathrm{P_0}(x_0,y_0)\) は 円 \(C_0\) 上の点であるから \({x_0}^2+{y_0}^2=r^2\)

よって,\(l_0\) の方程式は  \(x_0x+y_0y=r^2\)

まとめると,次のようになる。

円 \(x^2+y^2=r^2\) 上の点 \(x_0,y_0\) におけるこの円の接線の方程式は
\[x_0x+y_0y=r^2\;\cdots\cdots\;③\]

より一般的な場合

次に,円の中心が点 \((a,b)\) である場合を考える。

円 \((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\) 上の点 \((x_0,y_0)\) におけるこの円の接線の方程式は\[(x_0-a)(x-a)+(y_0-b)(y-b)=r^2\]

点 \((a,b)\) が原点に移るように,円と接点を平行移動する。すなわち,円と接点を,\(x\) 軸方向に \(-a\),\(y\) 軸方向に \(-b\) だけそれぞれ平行移動する。

このとき,円 \((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\) は 円 \(x^2+y^2=r^2\) に,点 \((x_0,y_0)\) は点 \((x_0-a,y_0-b)\) に移る。

いま求めたい接線は,上の平行移動によって

円 \(x^2+y^2=r\) 上の点 \((x_0-a,y_0-b)\) におけるこの円の接線

に重なる。その方程式は③を用いて\[(x_0-a)x+(y_0-b)y=r^2\;\cdots\cdots\;④\]

この直線を \(x\) 軸方向に \(a\),\(y\) 軸方向に \(b\) だけ平行移動して得られる直線が,求めたい接線である。その方程式は,方程式④で \(x\) を \(x-a\) に,\(y\) を \(y-b\) におきかえて\[(x_0-a)(x-a)+(y_0-b)(y-b)=r^2\]

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